今年の3月にパリへ行った。自分の宿泊先から友人と待ち合わせていたサンジェルマン・ホテルまで歩いている途中、「シェイクスピア・アンド・カンパニー」という書店に立ち寄った。ひと月以上経った今でも、もういちど行けたらと時々思い出してしまうほど素晴らしい時間だったので、紹介したい。
Shakespeare and Company(シェイクスピア・アンド・カンパニー)とは?
Shakespeare and Company(シェイクスピア・アンド・カンパニー)は、フランスのパリ5区、セーヌ川のほとりにある英書を扱う書店だ。
戦前に同名の書店が作られたのがはじまりで、第二次世界大戦中にフランスが占領下になり閉店。現在あるものは、1950年代のはじめにアメリカのジョージ・ホイットマンという人が、修道院だった建物を改築して設立した。パリに住む貧しい詩人や作家たちに宿を提供しているうちに文化人たちが集うようになり、いつのまにか書店以上の存在になったのだと、店員さんが説明してくれた。
360度みわたす限りの本に囲まれる店内
書店内に入ると、天井までうず高く積まれた本が一気に目に入る。中は入り組んでいてジャンル別にいくつかの小空間に別れている。「New(新しいもの)」「Literature(文学)」「Travel(旅)」「Love(愛)」「Poetry(詩)」「Physique(体)」など、数えきれないほのコーナーがある。そこに置かれた本すべてが厳選されている印象で、書店員の手書きコメントは思わず立ち止まって熟読したくなるものばかりだ。2階には図書スペース、隣にはカフェがある。
※店内は撮影禁止 (2023年4月現在)
はじまりの予感がするロゴ
本を買うと押してくれるスタンプやお店のグッズなどには、シェイクスピアの顔と店名、そして「Kilometer Zero Paris」の文字がデザインされたロゴが使われている。これは、シェイクスピア・カンパニーのすぐ近くにあるノートルダム大聖堂が、パリの道路元標 (道路標識などで距離表示の起点となる場所) であることを示していて、この書店がパリの中心地であることを意味する。キロメートルゼロの文字を見ると、ここからはじまるという気がしてワクワクする。シェイクスピアのファンにはたまらない。こちらのロゴマークの入ったトートバッグやポーチは、旅行者だけでなくパリっ子たちにも人気だそうだ。
遠く離れた場所からも感じたい
ポッドキャストなどで楽しむシェイクスピア•アンド•カンパニー
シェイクスピア•アンド•カンパニーでは素晴らしい作家を招いてのイベントが行われてるが、遠く離れた場所に住んでいると参加することは難しい。そんな時はポッドキャスト(spotifyなどで配信中)を活用したい。聴くことで、そのユニークな世界観にふれることができる。
人生に一度の体験ができる場所
古い街並みに囲まれながら、シェイクスピアをはじめとした西欧の古典文学を読むことは、ヨーロッパ滞在中ならではの楽しみのひとつではないだろうか。シェイクスピア・アンド・カンパニーで過ごす時間はまるで、秘密の洞窟を探検しているようだ。本好きの人もそうでない人も、パリを訪れる際は、ぜひ一度足を運んでみてほしい。
Shakespeare and Company(シェイクスピア・アンド・カンパニー)
37 rue de la Bûcherie, 75005 Paris
tel: 01.43.25.40.93
月曜〜土曜 10時から20時まで / 日曜 12時から19時まで
https://www.shakespeareandcompany.com