New Year’s Holidays of the sea of Japan
年末年始は、義叔父夫妻を訪ねて富山へ。天気予報が大雪吹雪を告げる中、雪、雪、と大はしゃぎする娘。出発前、冬の日本海へ向かうことに、一抹の不安を感じていたのは、恐らく冷え性の私だけだったと思われる。(寒いところと高いところが苦手。)
しんしんと雪降る街にクールガイ
北陸新幹線で、東京から黒部宇奈月温泉駅(日本で一番長い新幹線の駅名だそうだ)まで、約3時間半。雪の影響により、30分遅れで到着。改札前に迎えに来てくれていた叔父の姿が見えると、娘が嬉しそうに駆け寄った。
家へ向かう車の中で、叔父がかけてくれたジャズが、雪景色とあいまって、沁みる。落ち着く。クールな大人は、どこまでも穏やかに人の気持ちを溶かすのである。包み込むようなあたたかい雰囲気に、寒さの心配などしていた自分に喝を入れてやりたい気持ちになった。
年越し手打ちそばと日本海のお正月
正月の過ごし方は、さまざまだと思うけれど、今年ほど、土地の風習や、作り手のおもてなしを感じたお正月はない。食のことを中心に書き留めておく。
突如あらわれた 名店のそば職人
叔父は、蕎麦打ちという特技を持っており、訪問すると、いつもおいしい手打ち蕎麦をふるまってくれる。今回は、到着してすぐに、今日は寒いからと、あたたかいお蕎麦を出してくれた。ひと口食べて、名店の風がヒューイ。そこに日本海のお刺身と寿司たちが躍り出て、キトキトしているところへ、叔母の絶品筑前煮が登場し、一気にノックアウト。一家のご長男にも久しぶりに会い、近況などを話しながら、楽しい夕食のひとときを過ごし、皆で除夜の鐘を聴いた。
一夜明けて
日本海のお正月はSAKANA!
朝起きて2022元旦。初夢は見た?見てないなどの会話をしていたら、たくさんのお正月料理が、ぱぱーん!と用意されていた。
お雑煮は、鰤や鯖など、魚の出汁で作って、中の具にも魚が入っているのが富山流。魚の旨みがぎゅっと詰まった味がして、すごく美味しい。
かぶらは、大根の粕漬けの間に鯖が入っている料理。シャクシャクと歯応えがいい感じ。
子どものために、おせちのメニューに、から揚げを組み込んでくれていた。料理に関して、天賦の才がきらめく叔父特製の、揚げたてのサックサクをいただく。朝から美味しいが止まらない。おかわりの嵐となった。
躊躇なく子どもと雪あそびができる大人
お腹いっぱいご飯をいただき、新幹線出発まであと1時間半。このタイミングで「雪あそびがしたい。」と娘。普通なら、なかなか重い腰が上がらなかったりするものだが、叔父は「いいぞ、行こう!」と力強く一言、叔母が手袋や長靴を貸してくれて、5分後には雪の中へ繰り出していた。かっこいい大人は、いつでも子どもと遊べる体力があるのだ。ただただ尊敬する。
pass the baton
お茶を嗜む叔母は、玄関や床の間、泊まらせていただいたお部屋の中に、さりげなく掛け軸や生花を飾っていて、滞在中とても気持ちが和んだ。お正月料理の食器が素敵だと騒いでいたところ、義祖母のものを出してくれて、よかったら使ってねと言ってくれた。日本を発つ前に、こんな風に、大事な人が大切にしていたものを引き継ぐと、新しい土地でも大丈夫だという気がしてくる。叔母の気持ちがありがたくて、すごく嬉しかった。その心づかいと重箱に恥ずかしくないように料理を練習して、ずっと大切に使おう。
おもてなしがしみじみと
「寄ってくれてありがとう。」叔父と叔母の静かで穏やかであたたかな言葉に見送られ、帰り支度をして、また新幹線の駅へ。おじさま、おばさま、ご長男さま、一宿一飯のご恩は忘れませんと思いつつ、ぼうっとしたまま(間抜けなことに実際忘れ物をしていた)、夢見心地で黒部宇奈月温泉駅をあとにした。微力ながら、わたしも頑張ろう。