Roast Chicken – Then and Now
今年は、どうしても丸ままチキンを焼いてみたくて、というわけで現在オーブンの横にいる。
クリスマス時期が来ると、必ず思い出すお母さんが1人いて、私の中では、ちょっと伝説的な扱いになっている。
幼少期、両親が毎年友人家族とクリスマス会を開いていた。昭和全盛期の当時、専業主婦のママ上たちが自慢の腕をふるったお料理が、憩いのひとときを彩っていた。
パーティーのごちそうはどれも美味しかったけれど、中でも、“むっちゃんのママのローストターキー(七面鳥の丸焼き)”は、特別だった。アメリカで育ったという彼女が作るターキーは、異国文化そのもので、見た目や味、香り、ワイルドな食べ方が刺激的だった。お料理が出てくると、わあと歓声が上がっていたのをよく覚えている。
このターキーが、とりわけ子どもたちに人気だったのは、“wish born”が見つかるかもしれない!というワクワク感があったからだと思う。
wish born(願いが叶う骨)は、鎖骨にあたる部分で、Y字になっている骨だ。当たったら、隣にいる子と1人ずつ骨の端を持って、せーので骨を割く。大きい方の願いが叶うと言われている。
ウィッシュボーン割りで、小さい方になってしまった子が泣いてしまうこともあったりと、毎度、予想しなかったドラマティックな展開が生まれた。
私は、ターキーのドラム部分をほおばりながら、こういう人を楽しませるお料理を作れるお母さんてすごいな、こういう大人になれたらな、と思っていた。
自分がクリスマス会を開くようになって、ふと、もしかして私もあのローストターキーを作れるかしらと思い立っての今日。ターキーは手に入らなかったので、高島屋の明治屋で、どしんとした名古屋コーチンを入手した。
むっちゃんのママの連絡先は分からないので、料理家Ina Gartenの、”Perfect Roast Chickin*”レシピを参考に。*こちらのレシピは、メーガン妃がハリー王子を射止めた、”婚約チキン”として知られている。
ひたすらオーブンの番人として、チキンとにらめっこすること2時間。
ワーオ、
こんがり焼けて、美味しそうじゃん。
さあ、子どもたちは、大人たちは、喜んでくれるだろうか。
何かを焼いている最中のオーブンの近くにいる時間は、世界の動きがゆっくりになる気がして、とてもすきです。